根管治療

根管治療とは

根管治療とは

 根管治療は、進行した虫歯に対する処置方法です。歯の内部にある根管(神経や血管が通る部分)に溜まった虫歯の汚染物質を洗い落とし、消毒した後に薬を入れ、被せ物で覆います。

根管の内部構造は非常に複雑で、肉眼では確認できません。細菌を徹底的に除去するためには、高度な技術が必要です。この手順が不適切ですと、歯根の先端に膿が溜まり、更なる治療が必要になってしまいます。

当院の根管治療の特徴

抜歯宣告された歯を抜かなくても良い精密根管治療

 根管治療は、歯科治療の中でも特に緻密さが求められる治療法です。根管の内部は狭く複雑で、保険適用の治療では、利用可能な道具や材料、時間に制約があるため、成功率は約30~50%とされています。
対照的に、精密根管治療では、歯科用CTやマイクロスコープを駆使して根管内部を細かく観察し、歯髄や細菌の汚染を無菌的に除去します。保険診療では使用できない、高度な器具や材料を用いながら行いますし、時間制限もありません。そのため成功率が高く、再発のリスクを最小限に抑えながら、歯の健康を長く保つことができます。

マイクロスコープ

マイクロスコープ

 最大80倍の拡大視野を提供する、マイクロスコープ「ネクストビジョン」を使用した高精度治療を行っています。この機器により各処置の精度が向上し、再発の可能性を低減しながら見た目の美しさを高めることができるようになりました。
ネクストビジョンは、高解像度の口腔内カメラと顕微鏡機能を併せ持ち、モニターで拡大された映像を見ながら細かい治療を行うことが可能です。これにより、肉眼では達成できないレベルの精密な治療が実現できます。

CT

CT

 従来のレントゲン撮影では、単一方向から放射線を当てることで平面画像を作成していました。しかしCTでは、多角度から放射線を照射することで、情報をコンピュータで処理して3D立体画像を生成できます。
歯科分野では、この技術によって歯や骨、病巣の詳細な立体画像を得ることができるようになりました。根管治療などのような骨内にできる病気の診断と治療において、CT撮影は極めて役立つツールです。

MTA

MTA

 根管治療によってできた空洞には、充填材が用いられます。通常「ガッタパーチャ」と呼ばれるゴム状の材料が使われますが、細かな根管を完全に封鎖するのは難しいことがあります。そのため、隙間から虫歯菌が繁殖する恐れがあります。
MTAセメントは、優れた密封性、抗菌作用、そして再石灰化の効果を持っています。これにより、従来の材料を使った時と比べて、治療の再発リスクを減少させることができます。

YAGレーザー

ヤグレーザー

 YAGレーザーは、その強力な殺菌作用により、根管治療における根管内の細菌除去や歯周病原菌の消滅に使用されます。口腔内の病気は、細菌の活動によって引き起こされます。これらの細菌がある部分にYAGレーザーを直接当てるため、治療の効果を高め、期間を短縮することに期待できます。
MTAセメントは、優れた密封性、抗菌作用、そして再石灰化の効果を持っています。これにより、従来の材料を使った時と比べて、治療の再発リスクを減少させることができます。

ラバーダム・オーラルガードによる徹底した感染対策

ラバーダム・オーラルガードによる徹底した感染対策

 歯の根の治療(根管治療・根幹治療)では、根管内をどれだけ清潔に保てるかが重要なポイントとなります。そのため、当院では治療中にお口の中を浮遊する細菌が患部に侵入しないよう、治療する歯を隔離する処置(ラバーダム防湿やオーラルガードの装着)を行っています。
ラバーダム防湿は、薄いゴム製のシートをお口に被せ、治療する歯だけをシートの外に出すことで、唾液と一緒に細菌が患部に侵入して感染するのを防ぐ方法です。

ラバーダム防湿のメリットは以下の通りです。
  • - 無菌的な環境で治療を行える
  • - 歯を削る際の細かい粉じんや薬品の揮発成分を吸い込まない
  • - 小さな治療器具の誤飲を防止できる
  • - 器具や薬液が舌や頬に付着しないため安全
           

歯根端切除術で根管治療の予後不良にも対応

歯根端切除術で根管治療の予後不良にも対応

 歯根端切除術は、根管治療が終わった後にも改善が見られない場合に適用される、外科的手法です。これは、歯内療法外科の1つであり、根尖部(こんせんぶ)とその周囲の病変を取り除くことで、見込みが良くないとされる根尖性歯周炎を良くしていきます。
他院で根管治療を受けた場合は、その治療法の詳細が分からないので、まずは当院での精密な根管治療を受けていただきます。その後の経過観察で24ヶ月以内に歯科医から予後不良だと判断された場合は、歯根端切除術を実施することがあります。

根管治療の重要性

 根管治療は、虫歯治療を提供する多くの歯科医院で実施されている一般的な手法です。しかし、この治療は技術的に複雑であり、成功が保証されているわけではありません。

肉眼での確認が難しい

 根管は狭く複雑で、肉眼での確認が難しい部位です。そのため、経験と勘によって処置する歯科医も少なくありません。これにより、治療に失敗するリスクが伴ってしまうのです。

患者様1人ひとりの根管形状を把握する必要がある

 根管の形状には個人差があり、他の症例の経験が必ずしも役立つとは限りません。治療では、患者様1人ひとりの根管の形状を正確に理解することが不可欠とされています。

細菌除去が難しい

 肉眼では見えない細菌を根管内から完全に取り除くことは困難です。しかし、不完全な除去を行ってしまうと、再発のリスクは高くなってしまいます。

これらの点を考慮すると、根管治療を安全にかつ正確に行うためには、専門的な知識と技術を持つ歯科医が必要になります。

根管治療の流れ

根管治療は、以下のステップに従って進められます。

STEP 1 問診・画像診断

症状の内容や歯科用レントゲン(CTを含む)、視診を踏まえ、治療対象の歯を決定します。

STEP 2 歯の削り出し

歯髄を取り除く場合は麻酔を行いますが、感染している時の根管治療では麻酔を行いません。麻酔なしで歯を削り、根管の入口を開きます。

STEP 3 歯髄除去

ファイル(細い針状の器具)を使用して、根管内の歯髄を慎重に除去します。

STEP 4 根管洗浄

根管を消毒します。洗浄後には、薬剤を根管の中へ入れます。

STEP 5 処置完了

最終的な保存処置や補綴処置を施します。

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2024.10.04
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